ある築十五年の戸建て住宅にお住まいの家族から、朝から突然家中のお湯が出なくなったという連絡が入りました。現場に到着して状況を確認すると、お客様が仰る通り、蛇口からは冷たい水が勢いよく出てくるものの、給湯器が作動する気配が全くありませんでした。まずは基本的なガス供給を確認しましたが、コンロは正常に使用できていたためガスの問題は除外されました。次にリモコンをチェックすると、そこには「11」という点火不良を示すエラーコードが点滅しており、給湯器内部で火をつけようと試みたものの失敗したことを物語っていました。本体のフロントパネルを外して内部を点検したところ、点火装置であるイグナイターからは正常に火花が飛んでいることが確認できましたが、バーナーに火が移りません。さらに調査を進めると、長年の使用によって電磁弁の動きが悪くなっており、ガスをバーナーに送り出す通路が十分に開いていないことが判明しました。これは経年劣化による典型的な症状で、特に設置から十年を超えた給湯器ではよく見られる不具合です。お客様には、部品交換で一時的に復旧させることも可能だが、他の部品も同様に劣化が進んでいるため、近い将来に別の箇所で故障が起きる可能性が高いことを丁寧に説明しました。結果として、今回はお湯が出ない不便さを一日も早く解消したいというご希望と、将来的な安心を考慮して、最新の省エネ型給湯器への交換作業を行うこととなりました。新しい機器を設置し、蛇口から心地よい温度のお湯が流れるのを確認した時のご家族の安堵した表情は、この仕事の醍醐味でもあります。お湯が出ないトラブルは、単に部品を直すだけでなく、その家の生活リズムや将来のメンテナンス計画を考えるきっかけにもなります。水が出るからと無理に使い続けず、異変を感じた段階でプロの診断を受けることが、二次被害を防ぎ結果的にコストを抑える鍵となることを、この事例は改めて教えてくれました。
水は出るのにお湯が出ない不具合の解決事例