現代では洋式トイレが主流ですが、和式トイレには、特に災害時において非常に役立つという隠れた特長があります。大規模な災害が発生し、ライフラインが寸断された状況下では、和式トイレのシンプルな構造がその真価を発揮します。 災害時、最も困るのが「水の確保」です。断水が発生すると、洋式トイレは水を流すことができなくなり、使用が困難になります。しかし、和式トイレは、便器内に水を溜める仕組みが単純であるため、バケツなどで少量の水を流すだけでも排泄物を流すことが可能です。洋式トイレのように、大量の水を一気に流す必要がないため、貴重な生活用水を節約しながら、衛生的にトイレを利用することができます。これは、飲料水が優先される災害時に非常に大きなメリットとなります。 また、和式トイレは停電時にも問題なく利用できるという点も重要です。洋式トイレの中には、洗浄機能や温水機能、暖房便座などが電力によって作動するものも多く、停電時にはこれらの機能が使えなくなります。しかし、和式トイレは電力に依存する部分がほとんどないため、停電の影響を受けることなく、常に使用可能です。 さらに、故障が少ないシンプルな構造も災害時に強みとなります。複雑な機構を持たないため、故障のリスクが低く、万が一故障しても比較的修理しやすいという特徴があります。災害時には修理業者がすぐに駆けつけられない状況も考えられるため、トラブルが少ないことは大きな安心材料となります。 災害に備えて、既存の和式トイレを維持することや、公共施設などで和式トイレの数を確保することの重要性が改めて認識されています。また、避難所などに設置される仮設トイレの中には、和式スタイルのものも多く、災害時の衛生環境を維持するために、和式トイレの特長は今後も活用されていくでしょう。