仕事で疲れ果てて帰宅し、一日の締めくくりに温かいシャワーを浴びようとした瞬間、冷たい水が肌を叩いた時の衝撃は忘れられません。何度リモコンのボタンを押し直しても、設定温度を上げてみても、蛇口から流れてくるのは一向に温まる気配のない冷水ばかりで、私は浴室で途方に暮れてしまいました。水は勢いよく出ているため、断水ではないことは明白でしたが、お湯にならないだけでこれほどまでに生活の質が損なわれるものかと、現代文明の恩恵を痛感した次第です。パニックになりながらもスマートフォンで検索を始めると、お湯が出ないが水は出るという症状にはいくつかのチェック項目があることが分かりました。まずはガスの元栓を確認しましたが、当然ながら閉めた覚えはなく、キッチンに向かってガスコンロの点火を試みると、カチカチと音はするものの火がつきません。ここでようやく、屋外にあるガスメーターが遮断されているのではないかという仮説に辿り着きました。懐中電灯を手に外へ出ると、案の定、ガスメーターの赤いランプが点滅しており、何らかの理由でガスの供給が止まっていたのです。復帰ボタンを押して数分待つ間、夜風に吹かれながら、普段意識することのないインフラのありがたみを噛み締めました。再び室内へ戻り、恐る恐るシャワーを出してみると、数秒の静寂の後に給湯器が燃焼を始める「ゴー」という低い音が聞こえ、次第に水がぬるま湯へと変わり、ついには心地よい温度のお湯が溢れ出してきました。今回の原因はガスメーターの安全装置による一時的な遮断でしたが、もしこれが給湯器内部の基板故障や寿命による点火不良であったなら、その夜は銭湯を探して彷徨うことになっていたでしょう。水が出るからといって安心せず、お湯が出ないという現象がいかに多くの原因に紐付いているかを学んだ一夜となりました。お湯が出ないトラブルは予期せぬタイミングで訪れますが、まずはガス、電気、リモコンの設定といった基本に立ち返ることが、パニックを鎮める唯一の方法です。それ以来、私は給湯器のリモコンに表示される小さな燃焼マークが点灯することに、ささやかな安堵と感謝を覚えるようになりました。