現代の日本では洋式トイレが主流となり、和式トイレを見かける機会は少なくなりました。しかし、和式トイレには、その独自の形状や利用方法から生まれる、洋式トイレにはない隠れたメリットがいくつか存在します。その一つが、体の構造に合った排便姿勢を促す点です。和式トイレは、しゃがみ込む姿勢で利用するため、自然と股関節が深く曲がり、直腸と肛門の角度がまっすぐになりやすくなります。この姿勢は、排便時に腹圧をかけやすく、スムーズな排便を促すと言われています。便秘解消効果や、いきむ際の負担軽減に繋がる可能性があり、健康面でのメリットが注目されています。 また、衛生的であるという点も和式トイレの大きなメリットです。洋式トイレのように便座に直接座ることがないため、複数人が利用する公共施設などでは、他の利用者の肌が直接触れることへの抵抗感が少なくなります。特に、感染症が気になる時期などには、便座を介した接触感染のリスクを軽減できると考えられます。便器と床の間に隙間が少なく、掃除が比較的容易であることも衛生的であると言えるでしょう。 さらに、足腰の筋肉を鍛える効果も期待できます。しゃがみ込む動作は、太ももやふくらはぎ、腹筋といった足腰の筋肉を使います。日常的に和式トイレを利用することで、スクワットに似た運動効果が得られ、足腰の筋力維持や向上に繋がる可能性があります。特に高齢者にとっては、転倒予防のための足腰の強化にも寄与すると考えられます。 災害時などの節水効果も和式トイレの特長です。洋式トイレのように一定量の水を流す必要がなく、バケツなどで少量の水を流すだけでも排泄物を流すことができるため、水が貴重な状況下では非常に有効です。これらの隠れたメリットを再認識することで、和式トイレの価値を改めて見直すことができるでしょう。